介護の備えについて(公的介護保険や、介護の費用がよくわかる!)

2018/07/21  |

[保険などのマメ知識45]介護の備えについて①
保険などのマメ知識! 今回は、介護の備えについて(公的介護保険や、介護の費用)についてです!

こんにちは、saintseitaroです。

※いつも訪問していただいてありがとうございます!

前回は公務員の年金の3階部分にあたる「年金払い退職給付」についてをテーマにしました。
これで老後の備えシリーズは一区切りを付けて、今回から介護の備えについてを掲載していきたいと思います。

その前に、前回までのシリーズをまだご覧いただけていない場合は、まずこちらを参照いただければと思います!

死亡のリスクについて:平成29年における死亡の割合と、必要保障額の算出方法がよくわかる!
病気・事故のリスクについて:入院の確率・平均入院日数・高額療養費制度がよくわかる!(平成30年版)
老後の備えについて:老後の必要資金・老後への備えについてがよくわかる!

それでは、いきます!

現在、高齢化、要介護者の方が増加傾向になっています

2000年4月から2017年4月の17年間で、65歳以上の被保険者、要介護(要支援)認定者、介護サービス利用者のそれぞれが増加傾向になっています。
※65歳以上の被保険者や、要介護(要支援)認定者などについては、後述します。

①65歳以上被保険者の増加

2000年4月末 2017年4月末
第1号被保険者数 2,165万人 3,446万人 1.6倍

②要介護(要支援)認定者の増加

2000年4月末 2017年4月末
認定者数 218万人 633万人 2.9倍

③介護サービス利用者の増加

2000年4月 2017年4月
在宅サービス利用者数 97万人 381万人 3.9倍
施設サービス利用者数 52万人 93万人 1.8倍
地域密着型サービス利用者数 80万人
149万人 488万人※ 3.3倍

※ 居宅介護支援、介護予防支援、小規模多機能型サービス、複合型サービスを足し合わせたもの、並びに、介護保険施設、地域密着型介護老人福祉施設、特定入所者生活介護(地域密着型含む)、及び認知症対応型共同生活介護の合計。

要介護(要支援)の認定者数についても、平成28年4月現在633万人で、この10年間で約1.4倍に増加しています。
このうち軽度の認定者数の増加が大きく、近年増加のペースが再び拡大している状況です。

要介護認定者の推移について

介護予防サービス、介護サービスの年間累計受給者数や、累計の費用額も増加しています。

年間累計受給者数は、平成19年度で約4万3千人に対して、平成28年度では約6万2千人となっており、約1.4倍の増加で、
累計の費用額は、平成19年度で約6兆4千億円に対して、平成28年度では約9兆6千億円となっており、約1.5倍の増加となっています。

年間累計受給者数(単位:千人)

介護予防サービス 介護サービス 年間累計受給者数
平成19年度 8,792.3 35,057.2 43,827.8
平成20年度 9,584.6 35,767.7 45,331.4
平成21年度 9,973.1 37,229.6 47,182.8
平成22年度 10,423.2 38,872.6 49,272.8
平成23年度 11,001.5 40,828.7 51,806.4
平成24年度 11,707.9 42,979.3 54,660.3
平成25年度 12,460.6 44,727.3 57,159.2
平成26年度 13,267.3 46,447.9 59,685.5
平成27年度 13,768.8 48,192.2 61,932.0
平成28年度 12,885.8 49,413.9 62,273.5

年間認定受給者数の推移について

累計の費用額(単位:百万円)

介護予防サービス 介護サービス 累計の費用額
平成19年度 341,473 6,131,378 6,472,851
平成20年度 378,874 6,358,657 6,737,531
平成21年度 397,873 6,833,097 7,230,970
平成22年度 413,242 7,166,465 7,579,707
平成23年度 436,848 7,550,670 7,987,518
平成24年度 468,512 8,034,391 8,502,903
平成25年度 502,628 8,393,139 8,895,767
平成26年度 541,333 8,762,537 9,303,870
平成27年度 502,459 9,012,344 9,514,804
平成28年度 458,101 9,234,343 9,692,444

累計の費用総額の推移について

公的介護保険について

公的介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、2000年に創設された制度です。

40歳以上の人が全員加入して介護保険料を納め、介護が必要になった時に所定の介護サービスが1割負担(条件により2割負担)で受けられます。
65歳以上の人は「第1号被保険者」、40~64歳の人は「第2号被保険者」となります。

第1号被保険者は、要支援状態や要介護状態になった原因が何であっても、公的介護保険のサービスを受けることができますが、第2号被保険者は、加齢に起因する特定の病気(16疾患)によって要介護状態になった場合に限り、介護サービスを受けることができます。

特定の病気(16疾患)は以下のものです。

  • ①がん【がん末期】(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
  • ②関節リウマチ
  • ③筋萎縮性側索硬化症
  • ④後縦靱帯骨化症
  • ⑤骨折を伴う骨粗鬆症
  • ⑥初老期における認知症
  • ⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】
  • ⑧脊髄小脳変性症
  • ⑨脊柱管狭窄症
  • ⑩早老症
  • ⑪多系統萎縮症
  • ⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • ⑬脳血管疾患
  • ⑭閉塞性動脈硬化症
  • ⑮慢性閉塞性肺疾患
  • ⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

受けられる介護サービスの種類について

公的介護保険から受けられる介護サービスの種類は、大きく分けると次のように区分されます。

在宅系 訪問系サービス 訪問介護・訪問看護・訪問入浴介護・居宅介護支援等 ホームヘルパーが1時間、身体介護を行う場合
→ 1時間:3,940円
通所系サービス 通所介護・通所リハビリテーション等 通所介護(デイサービス)で1日お預かりする場合
→ 要介護3の方:8,980円
短期滞在系サービス 短期入所生活介護等 短期入所生活介護(ショート)で1日お預かりする場合
→ 要介護3の方:7,220円
居住系サービス 特定施設入居者生活介護・認知症共同生活介護等 特定施設(有料老人ホーム等)に入所する場合
→ 要介護3の方:1日当たり6,680円
施設系 入所系サービス 介護老人福祉施設・介護老人保健施設等 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所する場合
→ 要介護3の方:1日当たり7,760円

公的介護保険の介護サービスを受けるには、「介護を要する状態にある」との要介護認定を受ける必要があります。この要介護認定は、介護の度合いに応じて「要支援1~要支援2」「要介護1~要介護5」の7段階に分けられます。

要介護認定の仕組みについて

要介護認定(要支援認定を含む。)は、介護の必要量を全国一律の基準に基づき、客観的に判定する仕組みであり、一次判定及び二次判定の結果に基づき、市町村が申請者について要介護認定を行います。

①一次判定:市町村の認定調査員による心身の状況調査(認定調査)及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定で行われます。
②二次判定:保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会により、一次判定結果、主治医意見書等に基づき審査判定を行います。

5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について、要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計を基に要支援1~要介護5に判定されます。

要介護認定等基準時間による判定内容は以下のとおりです。

要支援1 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2
要介護1
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態

上記の表の内容は、専門性に特化しているため、さっぱり内容がわからないと思います。。
また、この要介護認定等基準時間は、あくまでも介護の必要性を量る「ものさし」であり、直接、訪問介護・訪問看護等の在宅で受けられる介護サービスの合計時間と連動するわけではありません。

「要支援1~要支援2」「要介護1~要介護5」の7段階の状態の目安は以下のイメージです。

要支援1 生活機能の一部にやや低下が見られるが、日常生活の基本的なことは、ほとんど自分で行うことができ、一部に介助が必要とされる状態。
要支援2 生活機能の一部に低下が見られ、立ち上がりや歩行などの運動機能に若干の低下が見られ、介助が必要とされる状態。
要介護1 身の回りの行動や移動の動作に支えが必要なことがあり、運動機能や認知機能、思考力や理解力が低下し、部分的に介護が必要とされる状態。
要介護2 身の回りの行動全般、移動の動作に支えが必要であり、日常生活能力や理解力が低下し、食事や排せつなど身の回りのことについても介護が必要とされる状態。
要介護3 身の回りの行動全般、移動の動作に支えが必要で、食事や排せつなどが自分でできなくなり、ほぼ全面的に介護が必要な状態。
要介護4 身の回りの行動全般、移動の動作がほとんどできず、排泄がほとんどできず、日常生活全般に介護が必要な状態。
要介護5 身の回りの行動全般、移動の動作、排泄、食事がほとんどできず、ほぼ寝たきりの状態で、食事や排せつのほか、着替え、寝返りなど、あらゆる場面で介護が必要で、意思の疎通も困難な状態です。

要介護度別の限度額について

身体への侵襲等を伴い利用に一定の歯止めがかかりやすい医療サービスとは異なり、介護サービスは、生活に密接に関連し利用に歯止めが利きにくいこと、また、同じ要介護度であっても利用者のニーズが多様であること等の特性があります。
そのため、居宅介護サービス及び地域密着型サービスについて、要介護度別に区分支給限度基準額(以下「限度額」という。)を設定し、一定の制約を設けるとともに、その範囲内でサービスの選択を可能とする仕組みになっています。

要介護度別の限度額と、1割負担の場合、2割負担の場合をまとめます。(単位:円)

要介護度 1か月あたりの
支給限度額
自己負担額
(1割負担の場合)
自己負担額
(2割負担の場合)
要支援1 50,030 5,003 10,006
要支援2 104,730 10,473 20,946
要介護1 166,920 16,692 33,384
要介護2 196,160 19,616 39,232
要介護3 269,310 26,931 53,862
要介護4 308,060 30,806 61,612
要介護5 360,650 36,065 72,130

※金額は介護報酬の1単位を10円として計算しています。

1割負担か2割負担かの条件について、以下の条件を満たす方が2割負担となります。

65歳以上の方(第1号被保険者)で、合計所得金額(※1)が 160万円以上の方、又は単身で年金収入のみの場合、280万円以上の方

但し、「年金収入とその他の合計所得金額」の合計が単身で280万円未満、2人以上世帯で346万円未満の場合は、1割負担で済みます。(※2)

※1:合計所得金額とは、収入から公的年金控除や給与所得控除、必要経費を控除した後で、基礎控除や人的控除等の控除をする前の所得金額を指します。
※2:合計所得金額が160万円以上であっても、実質的な所得が280万円に満たないケースや2人以上世帯における負担能力が低いケースを考慮されているため。

平成30年8月から65歳以上の方(第1号被保険者)で現役並みの所得のある方は、介護サービスを利用した時の負担割合が3割になりました。
詳細は「高額介護サービス費・高額介護合算療養費制度についてがよくわかる!」の参照をお願いします。

限度額が適用されるサービスの種類について

限度額が適用されるサービスの種類が決まっており、適用されるサービス、適用されないサービスを以下にまとめます。

限度額が適用されるサービスの種類 限度額が適用されないサービス
①訪問介護 ①居宅療養管理指導
②訪問入浴介護 ②特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型を除く)(短期利用を除く)
③訪問看護 ③認知症対応型共同生活介護(短期利用を除く)
④訪問リハビリテーション ④地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用を除く)
⑤通所介護 ⑤地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
⑥通所リハビリテーション
⑦福祉用具貸与
⑧短期入所生活介護
⑨短期入所療養介護
⑩特定施設入居者生活介護(短期利用に限る)(注1)
⑪定期巡回・随時対応サービス
⑫夜間対応型訪問介護
⑬認知症対応型通所介護
⑭小規模多機能型居宅介護
⑮認知症対応型共同生活介護(短期利用に限る)
⑯地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用に限る)
⑰複合型サービス

注1:外部サービス利用型特定施設入居者生活介護については、要介護度に応じた限度単位数を別に設定。

介護に要する期間や実際の自己負担額について

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成27年度の調査結果により、介護に要する期間と費用についてが公表されています。

出典:介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?|公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html

介護に要する期間について、平均59.1か月(4年11か月)で、4年以上介護した割合も4割を超えています。

介護に要する期間 割合
6カ月未満 5.80%
6カ月~1年未満 6.20%
1~2年未満 11.60%
2~3年未満 14.20%
3~4年未満 14.50%
4~10年未満 29.90%
10年以上 15.90%
不明 1.90%
平均 59.1か月
(4年11か月)

介護に要する費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)について、住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均80万円、月々の費用が平均7.9万円となっています。
月々の費用とは、介護保険施設利用の場合は、その施設費用の1割(又は2割)負担とは別に、居住費、食費、日常生活費のご負担も必要になり、その金額の合計になります。

一時的な費用の合計

一時的な費用の合計 割合
掛かった費用はない 17.30%
15万円未満 13.90%
15~25万円未満 8.30%
25~50万円未満 7.70%
50~100万円未満 9.00%
100~150万円未満 7.90%
150~200万円未満 1.90%
200万円以上 7.10%
不明 26.80%
平均 80万円

月々の費用

月々の費用 割合
支払った費用はない 5.20%
1万円未満 4.90%
1万~2万5千円未満 15.10%
2万5千~5万円未満 10.20%
5万~7万5千円未満 13.80%
7万5千~10万円未満 7.10%
10万~12万5千円未満 9.80%
12万5千~15万円未満 3.40%
15万円以上 16.40%
不明 14.10%
平均 7.9万円

最後に

上記の介護に要する期間や実際の自己負担額についてで、単純計算すると、

80万円 + 7.9万円 × 59か月 = 約546万円

の試算となります。
単純計算すぎて、ちょっと大げさな金額とも言えますが、次回では、どこまでをリスクと捉えて、今からの介護の備えをどれくらい行えば良いかをまとめていけたらと思います。

一旦以上になります。

上記掲載内容は、以下のサイトを参考にさせていただきました。

介護保険制度の概要 |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html

要介護認定はどのように行われるか |厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html

平成28年度 介護給付費等実態調査の概況(平成28年5月審査分~平成29年4月審査分)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/16/index.html

平成26年(2014年)介護保険法改正
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/k2014.pdf

特定疾病の選定基準の考え方
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

区分支給限度基準額(参考資料)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000175118.pdf

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【今日の一言中国語】
ワールドカップはとても楽しかったですね!(世界杯很开心呢!

世界杯:ワールドカップ
很开心呢:とても楽しかったですね。

※開催中に掲載したかった。。。

情報処理○術者試験(システム○ーキテクト)の試験日:2018/10/21(日)まで、あと92日!
※あっという間に100日を切ってしまいました。。まだ申し込んでいないので、まずは申し込みを行わないと、、、

そして、2018/4/15(日)に受験した情報処理○術者試験(システム○査技術者)は落ちました。。。
半年前と同様に落ちたことについてが、1回分の掲載になるかを考えようと思います。

AFP資格を取得に向けて、「AFP認定研修(技能士課程)」の通信教育を始めました!(これもそろそろ終わらせないと、、)
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早くAFP資格も取得できるようにガンバりたいと思います。
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同カテゴリーの次の掲載となる「公的介護保険の保険料と納付方法についてがよくわかる!」についても参照いただければと思います!

では、みなさまのほけんライフがじゅうじつしますように♪

Thank you for reading through.
See you next time!

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